蚊の一生!卵~幼虫~交尾~寿命までどんな生涯なんだろう?

蚊の一生は凄く短い。ボクらが時間をかけて生きて行く様々な生活の単位が、彼らの単位では驚くほど短い。それでいてその小さい、とるに足らない大きさのたった一匹が夜中に寝ている僕の耳のそばに羽音を鳴らして近づくと、僕はとても寝てなんかいられない。

寝ていて刺されるとその痒さで目が覚めてしまうこともある。

たまらず明かりをつけて高い羽音のする方を見回す…いたいた。そいつはカーペットすれすれに腹部をボクの血でパンパンに膨らませ、その重さで高く飛べなくなっている。必死に高い羽音を鳴らして、のたのたとよろけながら浮き上がっては着陸している。

エアコンも、扇風機もタイマーが切れてしまった真夜中。暑熱の中で、いったん覚めてしまった瞼が再び重くなるためにはこれから長い夜になりそうだ。

「このやろ!」とつぶやきながら、ボクはヨタヨタと飛んで逃げようとするそいつに向かって「パン!」という馬鹿に力のこもった拍手を一つする。

経験あるでしょ?こういうの。

夏の蚊、中には冬にも活躍する奴もいるけれど、彼らのライフサイクルはどんなふうに始まり、終わるんだろう。蚊の一生をちよっと見てみようか。

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蚊の一生-その1 卵

いやー気持ち悪いですね。

蚊はその種類によって卵を産む場所や卵自体の産み方も微妙に異なります。

一般にヒトスジシマカを代表とするヤブカ類は、水際の水に触れるか触れないかの部分に生息し、浅い水面にかけて湿地に生える草の根元にたくさん卵を産み付けます。でも、この蚊も人間とのかかわりあいの中で産卵場所が変化しているようです。

我が家の墓地は裏山にありますが、その納骨堂の花筒に溜まった雨水の中にも産み付けていいます。卵は黒っぽいゴマのような楕円形で規則性はなく、ばらばらに産み付けています。マラリアを媒介するハマダラカなんかも規則性はありません。

規則性があるのはイエカの類で動画ではよくこの種が登場してくる。水面に浮かぶ船を作るように縦に何列も規則正しく産み付け、箱舟のような形を作る。卵舟「らんしゅう」と呼ぶそうです。それはゆっくりと沈んでゆき、幼虫はそこから卵膜を破って水中に出て水面で呼吸を始めます。

https://youtu.be/AYpFTrVnteg

この動画の蚊はよくできてますね。残念ながらこうしたまとまりのいいものは日本にはないみたい。

学術書にはいくつかの種類が卵-ボウフラ(幼虫)-鬼ボウフラ(蛹)-成虫の完全変態のサイクルを記述しているものがあったのでそれぞれ参考に図式しました。

この中のマンソニア属というのはヌマカ属といわれます。文字通り流れのない沼地に生息します。

日本の松村先生が1916年に発表したトワダオオカが属するオオカ亜科とは違う属ですね。南米種が多く、日本にいる蚊より大型です。成虫の形はアカイエカに似てる。卵はもっと黒っぽくなるらしいね。上から見るとこげ茶色の菊の花びらのようにも見えます。

 

 

蚊の一生-その2 幼虫(ボウフラ)

この「ボウフラ」という名はもちろん和名。棒を振っているように水中でフラフラしているように見えることに由来。英名はLarvae(ラーヴァ=幼虫)。味気ないね。

彼らは種によって若干の違いはあるが、卵から2~3日で孵化すします。

ヤブカやアカイエカのようなナミカ亜科の蚊では、形は異なるけれど同じように尻尾の端の呼吸官を水面に付けて逆さの状態で呼吸します。

ハマダラカには呼吸管がなく、呼吸は水面に背中をくっつけて直接背面の気管を開いて呼吸します。この時点で少なくてもハマダラカについては区別できるね。

イエカ属やヤブカ属は流れの澱んだ池や沼地を好むけれど、雨水のたまった墓の花差や空き缶の中、古タイヤの中、プランターの水受けとか人間の生活域にあるちょっとした場所にも逞しく生きています。

命のサイクルが短いから水田のように一時期しか水がない場所もOKです。田の水が引く前に羽化するからでしょうね。

一般的にはちょっとした澱み水があればどこでも生きて行けるけれど、中にはきれいな水や、海水の潮だまりや、木の上とかにも、繁殖できる奴もいますよ。

共通しているのは水がないと生きて行けないということですね。そこが駆除のポイントになります。

マンソニア属は変わっていて澱みに浮いている枯れ枝や草の茎に呼吸管をくっつけて息をします。

図で確認してみましょうか。

これらの幼虫が何を食べて生きてるのかと形とか見ていると、うじゃうじゃ固まって浮いたり沈んだりしているところに指でも突っ込んだら、一斉に寄ってきて血でも吸われそうだけど、吸血するのはメスの成虫が卵を産むためだけだから、そんなわけはない。

彼らは水生の小さな昆虫と同じく水底に溜まったり、浮遊したりしている微生物や、微小なデトリタス粒子(虫の糞や小さな生き物が死んで分解された細かい残骸)や種類によっては塊りで水底に沈んだデトリタスをエサにしています。「汚れこそわが住処」っていうやつらが多いですね。

幼虫(ボウフラ)は1週間から長いものは2週間くらいかけて4回の脱皮を繰り返し、蛹になります。

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蚊の一生-その3 「サナギ」(鬼ボウフラ)

上の写真は決して喜んで見たいと思うようなものではないけど、糸状の奴がボウフラで所々にゴマ粒のように小さく丸まっているのが蛹(鬼ボウフラ)です。まだ圧倒的にボウフラの方が多いのがわかりますね。時期は孵化して7~8日というところでしょうか。

でも10日もたてばほとんどが黒ゴマみたいになってしまいます。蚊の蛹(さなぎ)は蛹のくせにじっとしてなくて、動き回るんです!(普通さなぎって動かないイメージだけど^^;)呼吸は胸から伸びているホルンと呼ばれる呼吸器官で行います。

胸はちょっと見には頭に見えるのでそれを鬼の角に見立てて「鬼ボウフラ」と呼んでいるのです。英名は(Pupae=ピューパ)もろ「蛹」って意味ですね。趣ないねえ…。

この時期は何も食べません。蛹だから。そして3日もしたら水面に出て羽化して成虫になります。

種類によって少しずつ違って見えるけれど、ここでもマンソニア属はく少し変わっていいます。ハマダラカ属もイエカ属やとヤブカ属と同じく蛹(鬼ボウフラ)の間はあまり際立った特徴はないですね。

図を見てみましょう!

 

 

蚊の一生-その4 成虫と交尾

写真は水面に残された蚊の蛹(さなぎ)の殻。飛び立った成虫は1か月くらい生きていいます。その間にオスとメスは出会い、交尾し、メスは交尾から2~3日で卵を宿し、吸血鬼に変貌するんですね

つまり卵が成熟するためには多量のたんぱく質が必要であり、彼女はこの時期、自分の体の倍以上の量の血を吸います。吸血しながらお尻から水分を放出。吸った血液は濃縮されるわけですね。

この作業が終わるとメスは吸った血の重さに耐えながらどこかに飛んでゆきます。そして2~3日、血を吸うこともなく、静かで温度の比較的安定して涼しい日陰や部屋の隅でじっと卵の成熟を待つのです。

この時期のメスの蚊をボクはよく風呂場で見つけました。まだ湯を溜めていない風呂場の壁にひっそりと留まっています。そこに人がいても欲張って血を吸いに来るわけでもない。もう、吸血の仕事は終わっているのですね。

彼女は卵の成熟を察知すると本能のままに様々な水溜まりに卵を産み付けます。産んでしまうとすぐに彼女は次の産卵のために再び吸血行動を始めます。成虫が生きている期間は1か月くらいです。命のサイクルが閉じるまでの間に彼女は多い時で4回くらいは吸血をします。

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【まとめ】蚊の生命サイクルから思うこと

 

  • 蚊のメスは交尾すると卵の成熟のために吸血を始め、産んだ卵は2から3日で孵化。
  • 孵化した蚊の幼虫(ボウフラ)は7~10日くらいかけて脱皮しながら蛹(鬼ボウフラ)になる。
  • そして3日もすれば羽化する。

蚊の一生は卵から成長し寿命を迎えるまでわずか2か月足らずの生涯です。

しかしそのわずかな一生の間に、本来ならばその何百倍も生きる人間の命を奪うこともあります。

衛生害虫として侵略動物ベスト100の中に入るこの小さな昆虫を、今の僕らの日常生活から根絶することはむつかしいでしょうが、彼らの習性の中から学び、僕ら自身の生活環境をもう一度見直し、回避し、防ぎ、駆除しつつ共存してゆくことになるでしょう。

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