蚊の音がウルサくて眠れん!あの不快な音は一体何なのさ?

、「虫」ムシに「文」ブンと書いてと読む。

いよいよ蚊のシーズンになってきましたね。昼間あんまり気になったことはないあの、プーンっていう羽音。気になるともういけない。暗闇で蚊の音が聞える方向に、目を閉じたまま手を振り回す。まぐれ当たりを狙うんだけど、手ごたえはない。一端灯りをつけてしまうと目が覚めてしまう。

我慢してまた寝ようとすると、どこからかまたプゥーン、プゥゥーン…だんだん近づいてくる。何かが耳や頬に触れたような気がして、思わず自分の耳のあたりをバチンと叩いてみる。もう、こうなると目が覚めてしまう。あきらめて灯りをつけると部屋の隅で刺される心配のないオスの蚊が飛んでいるのを見つけたりする…

もぉ、何なんだ一体。蚊が飛び回る時のあのうっとおしい蚊の音について考えてみよう。

先ずは、蚊が飛ぶ様子をスローモーションで見てみましょう。

https://youtu.be/9uBuKDkyZVY

 

 

蚊の音はなぜ煩い?

蚊はどこからプーン!て音出してるの?

昆虫の鳴き声ってよく言うけど、昆虫には人のように声帯があるわけではないし、鳥類のような鳴管を震わせて鳴き声を出してるわけでもない。

蝉のように腹部にある共鳴室の空気を振動させて音を出すものや、コオロギや鈴虫のように翅を擦り合わせて音を出すもの、ヴァイオリンと弓のように翅と脚をすり合わせて音を出すものが一般的。つまりは音なんですね。

そして多くのそのような昆虫に共通していることは音を発しているのはオスだということです。ところが、ハエ目に分類される蚊の音はそれらの方法と異なる方法です。かれらは2枚の翅を高速で羽ばたかせることによって高い周波数の音を出します。

 

蚊の翅(ハネ)の構造

その大小にかかわらず、一部シミやノミなんかを除いて昆虫は成虫になると翅をもつものが多い。

一般的に昆虫は胸部が3つの節に分かれていてそれぞれの部分から一対ずつの脚が生えている。翅の方は前翅が第2節、後翅が第3節のそれぞれ背中から一対ずつ4枚の翅が生えているものと、ハエのように後翅が退化し平均棍(へいきんこん)と呼ばれる先端に瘤を持つ、小さな棒状の感覚器管になり、翅とは異なる特別な働きをするようになっている。

最速で飛翔したり、空中でホバリングしたり、回転したり様々な虫の動きを補完する役割を持っているらしく、その意味では退化ではなくて進化といえるね。

 

蚊の音は高周波

蚊は「ハエ目」に属しています。蚊の翅の構造に書いたように、見た目一対の翅しかなく、「ハエ目」の別称となる「双翅目」とも呼ばれます。蚊はその二枚の翅で毎秒350回から600回の羽ばたきをする。この羽ばたきはそのまま350Hzから600Hzという高周波数に置き換えられる。

これは虫の中ではかなりの高速であり、高周波数なんですね。ちなみに蝶は多くても毎秒10回くらい。(優雅だね)ハエやミツバチでも200回くらいですから、相当なものです。

 

人の耳にはなぜ、煩いか?

人の耳が不快だと思う音ってどれくらいの高さなんだろうか。体験してみよう。

https://youtu.be/gMWZm4c0W6Q

ボクはこの動画を最後まで我慢して聴けません。

これは「モスキート音」と呼ばれる人工的な音を紹介しているんです。人は高齢になるにつれ2000Hzに近づく音は聴こえなくなります。10代から20代前半の若者はそれを超える高周波も聴こえており、ものすごく不快に思えるのです。

そこで深夜、店の前に集まって大騒ぎする若者たちに対して、その年代にしか聞こえず、我慢できない高周波を使って追っ払うことを考えた人がいたんですね。2005年にハワード・ステープルトンというイギリス人が考案し、日本でも販売されています。公園などに集まり、不穏な行動を繰り返す少年たちに対して使用する自治体もあるとのことです。

モスキート音はともかく、人の可聴域は高齢になるにつれ衰えはするものの20~2000HZくらいまで聴くことができます。

とはいっても、蝶やトンボが発てる10から50Hzの低い周波数の羽音が聴こえるか、というと通常の環境では難しいですよね。蚊の音は人の可聴域で最も聞こえやすい350から600Hzですから、ただでさえ静かな夜間の環境であれば間違いなく300HZくらいからたまらなくなってくるんですね。

蚊の音の周波数と人の耳がとらえやすい周波数がマッチングしているというわけです。しかも羽ばたきによって高くなったり低くなったり頻繁に上下しますから気になりますわな。

しかも、高周波は小さくても距離感覚がはっきり取れないことが多く、ホントは寝てるところよりかなり離れたところでプンプンいってるのに、耳のそばで飛んでるように感じることもあるんですね。

冒頭で書いたように、耳の近くに飛んでいると感じて思いっきり自分の顔をひっぱたいても空しいわけですね。まあ、たまにまぐれ当たりもあるかもしれないけどね。とにかく目は覚めてしまいますね。

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蚊の音には役割があった?!

蚊が高い羽音で飛ぶのはわかったけれど、何故そんな音が必要なのだろうか。黙ってひっそりと腕や首に留まり、血を吸うほうが理にかなっていると思うのだが…

そう考えれば、メスの蚊が自分の体重の倍以上の血を吸って必死に飛んでいるときにだけ高い羽音を発てるわけじゃあない。オスの蚊だって結構な羽音を立てる。

どうやらこれは、オスとメスが出会うための、何らかの信号だと今では理解されている。

蝶やトンボ、様々な色とりどりの虫たちは大体メスよりもオスの方が派手な色で、装飾的であることが多い。カマキリのような体格の違うものもいるけれどね。一般的にはメスは地味な色をしている。蚊の場合はどうか、明確な違いは触角だろう。

一目瞭然。

オスの蚊の触角は広く大きく、受信アンテナのように広がっていますよね。オスはまさにこの受信アンテナでメスの羽音をキャッチし、メスのいる方向に向かって飛んで行くんです。蚊の音が持つ周波数は蚊の種類によって異なり、オスは自分と同じ周波数を発てるメスを見つけるのですね。

ところで、蚊の音の持つ高周波が350Hzから600Hzというのは、この領域にそれぞれの蚊の種類が使用する周波数が定められていると言い換えることができます。これはまるで人が無線で使用する周波数の区分みたいですね。

メスは自分の羽音に惹かれて近づいたオスと交尾します。

我々が夜中に我慢できなくなるほどうるさく感じる蚊の音は、メスがオスを誘っているラブコールなのですね。

 

蚊の音が持つ高周波数と蚊の予防

蚊によって異なるという周波数は、蚊を近寄らせないために役立たせることができるとされています。

日本の蚊を例にとればシマカ亜属のヤブカ(ヒトスジシマカ)では510Hz、ハマダラカの亜属であるシナハマダラカは340Hzというふうに種類によって発てる羽音の周波数が違うとのことです。

でも、実際は人工的な「モスキート音」のように単純ではなくて、メスの蚊はまるで恋の歌を歌うように様々な周波数領域を調和させて音色を作り、それぞれの蚊の種類の周波数の領域の特性を織り込んだ羽音で恋の歌を奏でるのです。

これは逆に言えば、自分よりはるかに高い周波数の音が、自分の恋の歌を吹き飛ばしてしまうほど強く聴こえれば、メスはその緊張状態からそこにいられなくなってしまうということにもなります。蚊の嫌う17000Hzの高い周波数を発し、蚊を近づけないようにするという蚊よけのアイテムはこの発想ですね。

でも、これは実験では、あんまり効果はないって言われますけど。ボクもこういうグッズを一つ持っていますが、ありますよ。結構予防できたって記憶。

 

 

 

まとめ

蚊の音には人がうるさいと思わせる科学的根拠がありました。またそれは同時に人の耳でとらえる蚊の音の周波数領域と深くかかわっているということが証明されています。

そして、それは血を吸うメスの蚊が、卵を産み、子孫を残していくためにオスを誘い交尾を成功させるために不可欠な識別要素であり、誘因手段なのでした。

  • 蚊の音は種類によって違い、350Hzから600Hzまで様々あるということ。

人の可聴帯域は年齢によって次第に狭くなりますが、一般的には20Hz~2000Hzくらいまで聴きとることができます。そして、そのうち最も聴きやすい350Hz~600Hzの高周波帯域が蚊の羽音の発てる帯域と重なっているということ。

  • 蚊の音はメスが交尾のためにオスを誘う魅惑の歌声であるということ。

こう考えると、蒸し暑い夏の夜にどこからともなく聞こえてくるあのプーンという蚊の音もロマンティックで少しは微笑ましく思えることでしょう。

って…そんなわけないよね(笑)

お読みいただきありがとうございました。

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