
四月になって急に暖かくなってきましたね。カマキリの孵化時期は四月末から五月にかけてとされていますが今年は少し早めにお目にかかれるかもしれません。
今の都市部でも少しの田んぼや雑木林が残っていればカマキリの卵を目にすることもあるのではと思いますが私自身は結構、カマキリを身近な昆虫とイメージしています。
カマキリの卵の孵化時期は??
軒下などに産み付けられた卵が突然孵化してしまって、家の中のあちこちでカマキリの赤ん坊が出現する事態に遭遇した人結構いませんか?(笑)
孵化が始まるのは暖かい日が続いた雨上がりの晴天の朝が多いとのことです。そのため、気圧や天候と関係があると考えられているとのことです。
つまるところ孵化した子供が一番活動できる状況を選んでる感じでしょうか?カマキリは生まれた時から捕食者であるわけですからね。生まれたばかりでは芋虫型の前幼虫ですが、すぐに脱皮をすると親とほぼ同じ形態となり小さな鎌で捕食行動を始めます。

最初の餌であり、敵でもあるのは兄弟達の場合もあったりするわけで・・・生まれたての幼体が他の幼体を頭からボリボリと食べているのを見たときは、可哀そうと思うより凄いと当時の子供心に思ってしまいました。
「生まれた時から凶暴な捕食者なんだな~」と・・・!
それでも、蟻や他の天敵の脅威にさらされながら自分の餌も確保しなければならず、この幼体時だと小さな昆虫のアブラムシやダニなどの確保も容易ではないでしょう。そのため、孵化を晴天の暖かい日に選ぶことは生き残りにかなり重要な要素と思えます。
けれども間違って10月頃に孵化してしまい、気温と餌不足で幼体が全滅の事例もあるそうで、それを知ったときは「え~?!!」と思ったりもしました。
どうゆう事かと言うと、早い時期の9月に産卵された卵が10月に孵化してしまうことがあり、卵の中では1ヶ月程度で幼虫が育っているからだそうです。
自然の仕組みも完璧とまでは中々いかないようですね。
カマキリの卵の位置で、その年の積雪量がわかる?

カマキリがその年の積雪量を予測して、卵を積雪の位置より上に産み付ける説がありかなり信ぴょう性があるとテレビ等でも過去に紹介されたそうです。
生物の予知や超常性などロマンをかきたてられる説ではありますが、実際に調査してみた情報を元に検証してみたいと思います。
以下、実験情報です。
実験してみた結果・・
カマキリが積雪量より上の位置に卵を産むのは、カマキリの卵(実際には卵鞘:らんしょうという、泡が固形化したスポンジ状のもので、卵嚢:らんのうとも呼ばれます)が、雪に埋もれることで窒息状態となるからだ、と言われています。
ただ、生物学から見た場合、この説は矛盾している事がわかるでしょう。
雪に埋もれる事で窒息状態になるのであれば、どんなに雪が積もっても埋もれない位置に、初めから卵鞘を産みつけるはずですよね。

弘前大学名誉教授である安藤喜一氏が、4ヶ月もの間雪に埋もれていたカマキリの卵鞘47個を採取し、ふ化状況を調べた結果、98%の卵鞘が無事にふ化したそうです。カマキリの卵が、特別に雪に弱いわけではないことがわかります
更に安藤氏は、まる1ヶ月の間カマキリの卵鞘を水に浸しておき、ふ化状況を調べてもいますが、低温の水(0℃~7℃)の場合なら死亡率はわずか7%であることを、2008年に学会で発表しています。
カマキリの卵鞘というのは、空気をたくさん含んでいて弾力性にも優れているため、寒さや水などに耐えられるようにできています。例え雪に何ヶ月も埋もれたとしても、越冬できる能力を持っています
産みつけられる卵の位置も決まってなくて、実際にはカマキリの種類によっても違いますし、同じ種類でも高いところ、低いところと様々。同じ年の同じ種類のカマキリでも、産卵場所の高さには数倍もの高低差があるそうです。
実験の内容から残念ながらカマキリの予知能力はガセのようですね。昔からの言い伝えがクローズアップされてメディアでも注目されてしまったようです。
そもそもカマキリに予知能力があれば、前述した10月に生まれて全滅する幼虫の事例もありえないとなるでしょうからね。
けれども、そのことは全く無駄なことではないのかもしれません。もしかして10月にいきなり猛寒波が襲ってきて卵を産む前の成虫が全滅する事態を考慮してのことかもしれませんからね。
そうであるなら自然の摂理は超現実的でいて奥の深いものだと思えます。
不完全変態って凄い?

カマキリの孵化を見ると思うんですけど、親とほぼ同じ形態で、数ミリの幼虫から数十センチの成虫へ成長する。これって凄いと思いませんか?
昆虫は芋虫形態を経る完全変態派が主流ですよね。それは自然界では弱者である昆虫が生き残るための戦略だと思うのです。
物量作戦で大量の小さな卵から孵化した幼虫たちは、数ヶ月で数百~数千倍の質量の成虫へ成長しなければならず、その為の食べて成長することに特化したのが芋虫形態だろうなと思います。
芋虫っていつも葉っぱを食べていて脱皮も楽な感じですからね。体を完全に作り変えるために動けなくなる蛹形態のリスクを冒しても、完全変態は効率的であり主流派となりえたのでしょうね。
その昆虫界で原始的な不完全変態を維持しつつも生き残ってきたカマキリを含む、バッタ類・カメムシ類・トンボ類などは改めて考えると凄いかなと感じます。生物としてのポテンシャルが高いのかな?
トンボなどは太古の昔に出現した時からほとんど姿が変わっていなくて、飛行能力は生物界トップの実力者だそうでスピード及びホバリング時の、前後・上下・左右の動きの器用さは現行兵器も真似できないとの事。
恐竜の発生するはるか昔にすでに完成された形態を獲得してたのでしょうね。
昆虫とは離れますが軟骨魚類のサメも太古より完成された形態だそうで、後から出現した硬骨魚類を抑えて魚類の生態系の頂点を得た感じですね。捕食者としての完成形態を獲得すれば進化の必要性は重要でないのでしょうね。
トンボもヤゴも優秀な捕食者であるわけで、鎌を携えたカマキリも捕食者として、生き残りに有利な形態を獲得したと考えてよさそうです。
幼体も一日一回は餌を食べるそうで、一生の間にどれほどの捕食を行うのか・・・。くどいようですが凄いな~。
同じ不完全変態派のセミ類は逆に進化に乗り遅れた派かな?比較的安全な地中での幼虫生活では芋虫形態は必要なく、何年もかけて成虫になるのも生き残りに不利でなかったのか?事実はどうかはわからないですけどね。
カメムシの近縁の水棲昆虫類のタガメやタイコウチなどは絶滅危惧種だそうで、ほとんど見かけなくなってしまいました。生息域を奪われすぎたんでしょうが残念ですね。
最近、テレ東系での池の水抜いてみた大作戦で注目度が上がっているようなので、この気運が高まっていけばよいですね。
カマキリが同じように身近な昆虫で無くなるような状況は迎えたくないものです。
最後に
話はかなりそれてしまいましたが、この時期暖かい日が続けば早くに孵化する卵もありそうです。
カマキリの子供に家の中を蹂躙されるのが嫌な人は軒下や壁に卵が張り付いてないか、今からチェックした方がよいかもしれません。
気にならない人は大丈夫でしょうけど。
ちなみに私は後者です。
家の中でカマキリの子供を見れたら癒されるし家内の害虫も食べてくれたら一石二鳥ですね。(笑)
ここまでテーマとは離れた与太話にもお付き合い及びご覧頂きありがとうございます。