スズメバチの種類や大きさについて!

スズメバチといえば蜂を知るうえでどうしても不可欠な種類であり、あまり微笑ましい部分がない、凄みを持った生き物という印象が強い。

スズメバチには4つの属に76種類の仲間があり、その多くが大型種であり、1匹の女王蜂を中心にミツバチと同レベルの優れた社会性を持っている。

まず各種に共通する特徴を知ってから代表的な種類について見て行こう。

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共通する特徴

スズメバチは大型から中型、小型のものまで攻撃性が強い

比較的穏健で中にはそっと近づけば、かなり巣に接近しても大丈夫な種類もいるけれど、いったん彼らの方で巣に対して危険であると判断されれば、これを排除するために全力をかけてくる。

つまり、これらのスズメバチが危険であるという印象は、ヒトの方が気づかず彼らが守る巣に近づきすぎてしまった結果といえる。

そして、その攻撃が半端ではないために危険なんですね。好戦的であるとか攻撃的であるとか言われるのはその防衛行為に入るディフェンスラインが高いか低いか、発火点が高いか低いかっていうことでしょうね。

毒性は強いものが多く、集団で攻撃されることが多いのでアナフィラキシーショックを起こすことが多く、危険。

肉食で、幼虫のため他の虫を捕獲し餌とする。針は卵管が変化したものでオスには交尾のための器官があるだけで、攻撃用の針はなく、刺されることはない。

獲物の他の昆虫や小動物まで大小はあるが、狩り蜂が進化したものだといわれている。成虫は栄養補給のため、クヌギやナラの樹液も吸うし、熟した果汁も好物だ。

巣に対する防衛本能の発動は同じ種族でも生じる。負ければ餌。(厳しい…)

 

 

スズメバチの種類や大きさを比べてみよう!

一般にスズメバチといえば大きい、危険、襲われるというイメージがあり、代表するものとしてオオズズメバチがいる。生息地域も広くヨーロッパ、アフリカ、アメリカと各大陸を含め広範囲。67種類が確認されており、そのうち日本では16から17種類のスズメバチを確認することができる。

そのうち代表的なもの、オオスズメバチ・キイロスズメバチ・モンスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ・クロスズメバチの6種類を比べてみよう。

 

オオスズメバチ

 

■大きさ:女王蜂 40~45mm オス蜂は35~40mm 働き蜂 27~40mm

活動期:女王蜂 4月の終わりごろから5月にかけて越冬した女王が単独で営巣を始める。働き蜂は6月ごろには羽化し、女王は本格的な産卵を開始する。オス蜂は女王蜂が生み出す新しい女王との交尾のために9~10月頃羽化する。

■食 性:カマキリ、カミキリムシやコガネムシなどの大型昆虫も捕食する。樹液を吸いに来るカブトムシやクワガタムシとも縄張り争いをする。さすがに表面がつるつるして頑丈なこれらの甲虫には自慢の針が刺さらないのであきらめて一緒に樹液を吸っている。

■特 徴:どの蜂よりも体が大きく(ベッコウバチの超大型種60mm!は除くよ。)縄張り意識が強く、非常に攻撃的。毒性も最強。刺すだけではなく、毒液を噴射する。

腹の方から見た毒針 ゴム手袋や薄いゴム長靴は貫通する。

巣はどの蜂より大きく広がり、樹の洞や土中に作られる。

土中から掘り出したオオスズメバチの巣

巣自体、人が見つけにくい場所にあり、縄張り意識が強いため、突然襲われるという印象を受ける。特に幼虫の餌が不足する9月ごろ後半には好戦的になり、他のスズメバチの巣や蜜蜂の巣を集団で襲い全滅させることもある。

樹液を吸いに来る夏場には昆虫採集をしていて、カブトムシやクワガタ虫の隣にいるのもよく見る。そんな時は追っ払ったりしないこと。餌に対しての縄張り意識も強く、逃げる暇もなく刺されることにもなりかねない。お子様は自分の好きな昆虫だけに目が行く傾向があるからお父さん、特に注意してね。

山を歩いていると、セミなどの鳴き声に混ざって、かなりはっきりと(カチカチ)という音が聞えることがある。これは巣から周りを見張っている蜂が顎をかみ合わせ「近づくな!」と警告している音であり、仲間に警戒を呼びかけている音でもあります。素直に従いましょう。そーっとその場を立ち去ることですね。

 

 

キイロスズメバチ

 

■大きさ:女王蜂 25~28mm オス蜂・働き蜂 17~24mm

■活動期:越冬した女王蜂の活動はスズメバチの中で最も早く、3月の終わりごろにはもう活動を始める個体がある。逆に営巣を終えるのは最も遅く、11月を越える個体もある。

通常は4月下旬から活動を始め、6月には働き蜂が羽化し始める。働き蜂の数が増えれば幼虫を養う餌も多く集まり、7月ごろ活動は最盛期となる。オス蜂や新しい女王蜂は9月~11月までに羽化し、11月いっぱいまでは活動する。

■食 性:昆虫もハエ・アブ・セミ・トンボ・蜘蛛・ミツバチ・同じスズメバチ科のアシナガバチ等手あたり次第。おまけに死んだ魚やカエル、成虫の栄養補給のためもあり、果実や花蜜、樹液も好む。

■特 長:体の色は濃い黄色で遠目には真っ黄色に見える。都市型に生活圏を拡大しており、順応性が高い。

最初の巣は樹の洞や民家の屋根裏や床下など閉鎖空間に作るが。開放空間に移る傾向がある。ただ、移動しないこともあり、その場合はスズメバチの中で、最大級の巣を作る。開放空間であれば橋の下や民家の軒下、排水溝など、人工構造物に巧みに営巣する。

気性は荒く、毒性は強い。

 キイロスズメバチの毒針

集団で襲うことはあまりないが、民家の軒先など、人の生活領域にある巣の近くで作業したり、橋の上を一度に大勢が通ったりすると攻撃性に火が付く。封鎖空間で巣の大きさが予測できないような場合、駆除は専門業者に任せるべきだね。

 

 

モンスズメバチ

■大きさ:女王蜂 28~30mm オス蜂・働き蜂 21~28mm 大きさではコガタスズメバチに近い中型種。

■活動期:5月から10月頃

■食 性:肉食 幼虫の主な餌はセミだが、バッタやトンボなどの大型昆虫もメニューに上がっている。初夏の春ゼミや夏の終わりのツクツクボウシなど、主たる餌であるセミの数も減少し、それにつれこの種類はだんだん見かけなくなりつつある。

余談だが、ヨーロッパには養蜂で使用するセイヨウミツバチを襲うスズメバチはこの種だけであり、おまけに襲うことも珍しい。

だからニホンミツバチのように統率された、対スズメバチ用の戦闘方法が発達していない。現在日本でも養蜂の主流となったセイヨウミツバチはオオスズメバチなどさらに大きな捕食者に対し、為す術もなく全滅することもあるのだと言われている。

■特 性:体色は胸部が黒く、腹部は黄色と黒の蜂カラーだけど、模様は黒い帯(紋)が波打っている。模様の個体変異は他の種類より多い。

巣は天井裏や樹の洞など閉鎖された空間に薄い外皮の下側が大きく開いた営巣を行う。キイロスズメバチのように手狭になると引っ越しすることも稀にはあるが、キイロスズメバチとは違って新しく作る場所に開放空間を選ばない。ちゃっかりと引っ越しが終わったキイロスズメバチの古い巣に引っ越すこともある。

引っ越し後の古い巣に無断で失礼

この種類の特徴として珍しく、日没後もしばらく活動することがあり、投光器などの灯りによって来るので、避けようとして刺されることもある。運動能力は高く、攻撃性はやや高め。

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コガタスズメバチ

一見するとオオスズメバチによく似ているのがわかるだろうか。写真やビデオではスケールをつけないと実際の大きさがよくわからないね。

■大きさ:女王蜂 25~30mm オス蜂23~27mm 働き蜂 22~28mm中型種にはいるね。

■活動期:5月から11月頃

■食 性:肉食。中型以下の昆虫をエサにする。花鉢の好む花の付近で待ち伏せし、捕食する。獲物の胸部の筋肉を咬み切り、肉団子に丸めて幼虫用に巣に持ち帰る。キイロスズメバチと同様、食性がバラエティに富んでおり、人家の近辺の営巣場所にも恵まれているため、都会やその近郊のベッドタウン等にも適応している。

■特 性:威嚇性や攻撃性もさほど高くない穏やかな性質だけど、巣を作る環境が関連し、刺される人が意外と多い。これは日本の造園文化が樹木を選定し、人為的な美を中心とした庭造りのため、その作業中に好んで木の枝に作るコガタスズメバチの巣に誤って触れてしまう機会が多いためだといわれている。

巣は最初に女王蜂が作る段階では徳利状で木の枝からぶら下がっていたりする。働き蜂が増え、巣が手狭になってくるに従い、形状はボール状に変化して内部に幾層もの巣が形成されるが、営巣の規模は小さい。

初期の営巣

成虫はオオスズメバチに酷似しており、大きさに違いはあるものの、比較する個体の大小によっては見分けがつきにくい。とはいえ、とっさの目視による場合は形の大きさで区別するしかないが、比較的わかりやすいのは顎の上の頭楯部(とうじゅんぶ)の突起がオオスズメバチは2つであるのに対し、コガタスズメバチは3つであること、やや頭部が毛深いことなどが目印になるかなと思う。

下図参照。

 

 

ヒメスズメバチ

■大きさ:24~37mm女王蜂、働き蜂とも大きさにあまり違いがない。スズメバチとしてはオオスズメバチに次ぐ大きさ。

■活動期:5月から9月頃まで

■食 性:偏食。ヒメスズメバチの幼虫の主食はアシナガバチ類の蛹(蛹)や幼虫に特化しており、給餌も肉団子ではなく、成虫が咀嚼して分解した獲物の体液であり、他のスズメバチからすると、ひと手間かかった食料だね。

そのため、成虫はアシナガバチ類の巣を襲うわけだけれど、四季の変化が明確な日本では獲物の繁殖期間が限定される。そして、それは捕食者側であるヒメスズメバチの幼虫の数、それに見合った巣の規模や働き蜂の数等にも影響を与える。

実際に、同種が生息する熱帯アジアでは餌となるアシナガバチ類の個体数が圧倒的に多く、一年中活動するため、幼虫の数も多く、それに見合った規模の大きい営巣を行う。それはハチ自体の性格にも違いを生じさせている。             

■特 性:温厚。腹部の第5、第6節が黒く見分けは付きやすい。

大きさが役割によって異なる通常のスズメバチと違い女王もオスも働き蜂も同じくらいの大きさで、巣の規模も小さく働き蜂も十数匹だといわれている。

そのため他と争うことを回避し、働き蜂の数を確保するために攻撃性は極度に抑制され、スズメバチの中で最も低く、毒性も低い。攻撃よりも消耗の少ない威嚇によって巣を守ろうとする。巣に近づいたものに対し、まとわりついて離れようとしない執拗な行動をとる。非暴力的防御だね。

ただし、この性格特性はあくまで日本のような温帯地域であり、獲物の絶対数が限定された影響で、育てる幼虫の数も巣の規模も限定されている場所向きの生き方なんですね。

だから熱帯アジアのような餌が豊富で子供をたくさん育てる場所では当然巣も大きく、働き蜂もそれだけ数をそろえられるので、スズメバチとして敢えて平和主義者でいる必要がないということになる。攻撃性は当然高くなり、それに見合う毒性(兵器)も充実したものを準備することになる。自然って凄いね。

日本でのヒメスズメバチの女王蜂は人手不足になっているコンビニの店長がバイトのやりくりで苦労しているみたい。今の労働環境によく似た悲哀を味わっているんだろうかね。

 

 

クロスズメバチ

■大きさ:女王蜂 15mm 働き蜂 10~18mm スズメバチ科だけど小型であり、クロスズメバチ属という独自の属に区分される。

■活動期:3月下旬~12月頃迄 通常6月頃から羽化する。

■食 性:小型の昆虫やクモを主食とする。飛んでいるハエを捕獲する敏捷性も持ち、人家の食卓の焼き魚や新鮮な川魚の死肉などを咬み切って肉団子にして持ち去ることもある。果汁にも来るね。

個人的な経験では子供が小さい時に山歩きに連れて行った際、子供の服の胸元にこぼしたグレープジュースのシミに2匹ほどしがみつかれて慌てたことがある。

ウィキペディアではジュースを飲んでいる唇を刺されることがあると書かれていて、今考えると危なかったなあと思った。この時に出会ったクロスズメバチは少し大きく、ウォーキングコースの高度、シダの密生状態からみてシダクロスズメバチだったんだろうね。

■特 性:体色の特異性は他のスズメバチとは異なる白と黒のシックな装い。個人的には大好きなハチだね。

攻撃性も毒性もさほどではない。だけど巣の近くを気づかずに通ったりすると、防衛的攻撃を受けることもある。彼らが飛んでいるところでジュース飲みながら山道を歩くのは感心しないね。(あくまで個人的経験)

クロスズメバチはミツバチと同じように養蜂の対象でもあり、昔から幼虫や蛹が貴重なタンパク源として扱われてきた。地方によってヘボとかジバチとかいくつもの別名で親しまれ、新鮮な魚の肉をエサに懸命にかぶりつくクロスズメバチに紙のこよりを付けた肉団子を抱かせ、いい年のおっさんが一斉に追っかけるという遊びがある。

ヘボ追いとか言うね。この蜂は土中の封鎖空間に営巣する。少し大きいシダクロスズメバチも同様。最近はこの伝承的な遊びが子供たちにも引き継がれているらしい。前提にはこの蜂のおとなしさがある。勝手だね。人間って。

 

 

スズメバチの大きさ種類 –まとめ

共通する特徴

ここでは先ず、スズメバチ全体に共通する特質について概説しました。危険・攻撃性はあくまでヒトの方からの表現であり、それぞれのスズメバチの危害行動は防衛出動なんですね。

スズメバチの種類や大きさを比べてみよう!

■オオスズメバチ:スズメバチと言ったらオオスズメバチ。もっとも危険で苛烈な攻撃を行うハチとしてその大きさが人の親指大に達すること、強い毒性と強い顎を持つ昆虫の中で最も危険な昆虫でした。

■キイロスズメバチ:中型のスズメバチですが、オオスズメバチの次に危険なハチであるということ。民家の軒下、屋根裏、人工建造物のいたるところに営巣を行うことができる順応性を持っています。攻撃性も高く、気性も荒く、都市型であるために被害は多いと言えます。全体的に黄色く、身近な危険です。

■モンスズメバチ:中型のスズメバチ。生息地域が世界的に広く、個体の斑紋の変化も多い種類です。胴体の黄色と黒の縞模様の黒の部分が波形の紋様です。夜間も活動可能なユニークさがある。

■コガタスズメバチ:中型種ですが、外見上オオスズメバチと区別がつきにくい種類です。見分け方を図式しました。

■ヒメスズメバチ:性格温厚な大型種ですが、それは気候的特性によるものが多く、熱帯アジアで生息するヒメスズメバチはその攻撃性も毒性も日本のものとは別種類のようです。尻尾の色が黒いので見分けがつきます。

■クロスズメバチ:上記5種類のスズメバチとは体色においてユニークです。白黒の縞模様の小型のスズメバチで、食用として昔から養殖されている種類でもあります。

それぞれの個性に応じた対処が考えられるけど、特に危険のある種類についてはスズメバチという見分けができた時点で、より安全な対策を実行する必要があるね。

スズメバチ側の防衛のための攻撃であれ、その苛烈さは人間の命にかかわるものでもあるからです。それぞれの市町村、保健所、駆除を行う業者等、に相談できる体制は整っているはずです。ご自分の住んでいらっしゃる市町村でどのような扱いが行われているのか一度調べてみるのもいいですね。

ボクの住んでいる田舎の役所でも、直接の駆除はやっていなくてもどこに依頼すればいいかというような情報は得られるようになっています。

 

「スズメバチの種類や大きさについて」でした。

おつかれさまでした。読んでくれてありがとう。

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