チョウセンカマキリとオオカマキリ、見分けや違いは何?!

日本の在来種として最大だと確認されているカマキリって、同属の未確認の亜種を除けばオオカマキリとチョウセンカマキリですね。どちらも日本ではよく見られる種類です。

でもこの二匹、学名では同じ属で亜種。どうやって見分けるんだろうね。違いはどこにあるんだろう。

外観だって最大のものはオオカマキリだけど、体長だけで言えばどちらも80mmクラスの個体はいるよね。ちょっと小さなオオカマキリと太ったチョウセンカマキリってどっちがどっちだろうね?「ちょっと小さいからチョウセンカマキリだ」ってほんとかな?ちょっと調べてみようか。

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チョウセンカマキリとオオカマキリ、見分けや違いは?

卵嚢の違い 

卵嚢(らんのう)とは野原の枯れ草や木立の枝、樹皮などにカマキリが産卵のために作る丈夫で弾力性があり、保温性、耐熱性がある袋だけれど、その形にも種類によってさまざまな違いがある。

大型は風雨にさらされても、外敵に襲われても壊されにくい樹脂状の袋を作る。多分見たことがあるはずだね。小型種では朽木の洞や樹皮の裏側なんかに小さい卵嚢を作り越冬させる。

一端孵化しチビさんたちがわらわら、うじゃうじゃと出てきていると、成虫で判断する大きさのレベルは役に立たない。ハナカマキリ科の一部の華麗なカマキリの幼虫では子供の時から美しいものもいるけど、たいていは緑色か、茶褐色でちょこまかと動きまわる。

でも、この卵嚢の形の違いははっきりしていて、オオカマキリのものかチョウセンカマキリのものかは簡単に見分けられる。

一目瞭然だね。後孵化した幼虫を育てて違いを観察してみてもいいかな。でも昔のように気力が続かないからね。

どちらも真ん中から幼体が枝分かれするようにみっちりと詰まってる。チョウセンカマキリの卵嚢は真ん中が凹んでいて溝がわかるね。この左右にいるんだよ。ギーガーのエイリアンの世界を思い出してしまう。

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2018.04.25

 

成体の見分け方はどう?

成体の見分け方もいくつかあるよ。でも、断っておくけれど、100%分類ができるわけではないよ。個体変異って言うのがあるからね。つまり、同じ生き物であっても、遺伝子とか染色体に関係なく、環境の影響をうけて個体の形質が変化し、似たようなものが出来上がっているものもあるのです。

遺伝的変異に対して環境的変異という言い方もするね。でも、なぜ、環境への適応がその体の部分に生じるかということは、その部分がどういう働きをしているのかという点を解き明かすことにもなるかもしれない。

そこはパパさんやママさんの時代じゃなくて、「なんで?何で?」の好奇心の塊りの子供たちに期待しましょう。

成体の見分け方その1 オオカマキリのオスとメスの見分け方

これはデータの蓄積があって蓋然的なものだけど、

オオカマキリの体長は

  • オスが60mm~90mm
  • メスが75mm~95mm

チョウセンカマキリの体長は

  • オスが65mm~80mm
  • メスが70mm~90mm

一般的にオスはメスより小さく、メスは産卵のために腹部は大きく、エネルギーの消費量も多いのでオスよりも大きい。同一種であることがわかっていたらそのオス・メスは比較的容易に見分けられるでしょうね。 

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成体の見分け方その2

  1. 頭部
  2. 前脚基部
  3. 後翅

それぞれ見ていこう

 

まずは①の頭部

①の頭部での判定については、先に説明したオスメスの判定とともに図式しましたのでご覧ください。

見ていただいてるようにオオカマキリもチョウセンカマキリも前頂部に3本の緑の帯があり、頭楯部から上唇部にかけて2本の線になって繋がっています。

この前頂部から頭楯部への左右の2本の帯はチョウセンカマキリの方が上唇部から先端に行くにつれ、狭くなってゆきます。

そして頭頂部の3本の濃い緑の帯もオオカマキリは細く、チョウセンカマキリは太い帯です。そして上唇部の濃い緑の帯の色の薄い部分はチョウセンカマキリが狭まって見えます。

わかりますか?この特徴を抑えて、この記事の最初のカマキリの写真を見てください。オスとメス、どちらでしょう?単眼の大きさからボクはメスであると判断します。

そして濃淡の3本の帯が上唇部に行く部分、頭楯部の真ん中の濃い帯の幅の広さからこの写真のカマキリはチョウセンカマキリのメスだとまずあたりを付けます。

 

次に②の前脚基部の観察に移ります

この①も②もホントはワッシとカマキリの前脚基部を掴んでしげしげと見るのが一番なのですが、カマキリの前脚の鎌は後向きにも動きますので運が悪ければちょっと痛い目に合うかもしれません。

それが嫌なら時間をかけて頭部を観察し、カマキリが移動するときじっと見たり、ボールペンの先で突っついて威嚇のポーズをさせたりして観察することになるでしょうね。

この前脚基部が淡い浅黄色から黄色であればオオカマキリ濃い黄色から朱色であればチョウセンカマキリといわれています。チョウセンカマキリの朱色はオスメスによって若干の濃淡があるようですが、まずオオカマキリとの比較は可能です。

先ずは写真で比べてみよう。

これくらいはっきりしてるとよくわかるね。次は動画で見てみよう

https://www.youtube.com/watch?v=ojig6So2dFU

この動画では見分け方について一般的な部分を解説しています。カマキリの前脚部の掴み方を見ておいてね。体をひねる力は意外と強いからね。油断してると鎌が指に食い込むよ。

 

最期に③後翅で比べる

ダメ押しで③の後翅で比べる。動画では比較はしてないみたいだけど、オオカマキリの後翅の付け根はボクのイラストよりはるかに紫色がかって濃い色です。チョウセンカマキリの方は上辺が茶色の筋で染まっていますが、全体的に透き通った翅です。

余談ですが、未確認種のオキナワオオカマキリはウスバカマキリのように後翅色はなく、透明で、前脚基部の色も体色と同じ色です。確認種の数が少なく、亜種として認められていないのですが、ひょっとしたらという気もしています。

ただ、植物でも内地のものと沖縄では大きさにかなりの違いがあり、例えば着生蘭(木とか岩に気根でくっついて生育します)の一種で、風蘭という蘭があります。

一般種は葉っぱの付け根が赤黒く汚れているのですが、奄美の同種の蘭はどの個体も青軸で汚れがありません。形は同じですが大型です。花も同じ花が咲くのですが、やはり同じ形の大きな花が咲きます。気候の違いが大きいので環境変異という意見も捨てがたいところです。

いかがでしたか?冒頭の写真では②の確認まではできるのではないかと思います。

ボクはこの記事の冒頭の写真のカマキリは単眼の大きさからメスであり、種類は前頂部の真ん中のラインが薄いですがこれが太い点。

頭楯部から上唇にかけての淡色のラインはこれだけ見るとオオカマキリのようでもありますが、前脚基部の色がオレンジであるのがぼやけていても明瞭であることから総合的にメスのチョウセンカマキリと判断しました。

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